SICのオーディオへの採用 
1.SICの特徴  
  リカバリ時間(逆回復時間)Trrが非常に短い。

  オン抵抗が低い

  高温での安定動作
 SICショットキーDiの評価を色々なセットで調べていくと、すばらしく良い評価ともう一つという評価が出てきている。さらに原因を追及していく必要があるが、リカバリ時間が主体の場合いと、オン抵抗が主体の使われ方で評価に違いが出てきている模様である。
(あくまでもハイレベルの製品での比較においてである。)
2.FETの使用上の注意点  
 
 静電気対策
   SIC-MOSトランジスタは、シリコンと比較してチップサイズが小さく出来ている為静電破壊耐量が低くなっています。半田付け作業などを行う時は、人や作業場の静電気除去をしっかり行ってください。
   
 駆動電圧による熱暴走(オン抵抗の温特)
   Vgsが仕様条件より低い場合い温度特性が逆転して熱暴走を起こしやすくなります。
元々ON/OFFのスイッチング素子としての用途向けに作られていますから十分なVgsを加えて使用されるものです。(オーディオでは影響なし)
 Id−Vgs特性と温度特性
   FETをオーディオのパワーアンプの出力段に使用する場合には、こちらを考慮した設計をする必要があります。
右のグラフのように温度が50℃変わると約3倍ほど電流が変わるのでサーミスターなどによる補正回路を入れる必要があります。
 Vgsに−6V以下のDC電圧をかけない
   パワーアンプの出力に使用している場合は問題ないのですが、MOSを用いてSW動作を行う場合いマイナス電圧(直流)をあまりかけ過ぎるとVthの変動が起きてしまいます。
3.セットへのSIC採用    
   ビーウィズ Accurate A-110S II
 
 2011年の東京モーターショーにて新日本無線と共同開発したSiCショットキーバリアダイオードを搭載したモノラルパワーアンプを展示した。
カーオーディオメーカで初めての採用と思われる。
(耐圧200Vで電流容量5A)
  エソテリック C−02
 2012年東京インターナショナル・オーディオショウに参考出品されたプリアンプの電源部分にSICのショットキーダイオードが採用されました。
(高級)オーディオセットに初めて採用された。
 新日本無線が開発したFETをパワーアンプ部に採用した初めてのメーカー製製品。
2016年10月発売
   
 
  ラックス
 
 品番を確認出来ていませんが、量産中の製品に整流としてSICを使用。新機種M−900uにSICショットキーダイオードが採用されました。
(2013/12/26 UP
  スペック               
 
REQ-77S
 2013年2月にフォノイコライザーを発売。
 電源の整流にSICショットキーダイオードを採用。中高音の透明感溢れる音色と中低域の充実したサウンドを聴かせる。
海外オーディオ紙でも高い評価。
 2013/6/30 UP
 ガイアの夜明けで放送されたプリメインアンプの電源にショットキーダイオードが採用される。
無線と実験10月号(2013年)にフロントパネルのレイアウトが異なりますが、紹介されました。モデル名はRSA−888です。
(左の写真は、海外モデルでシンメトリになっている。)
 RSA−M5
 2013年オーディオ・ホームシアター展で発表されていたパワーアンプの整流ダイオードとして採用された。最高機種のF1より良い部分もあるとまで言われていた。
 2013/10/19 UP
  スフォルツァート DSP−03
 
 デジタルオーディオの最高級セットを作るスフォルツァートよりネットワークプレイヤーDSP−03が発売された。ホームページに掲載されているが、電源の整流にSICを採用。
 2013/9/27 UP
  ロジフル
 
 パワーアンプの電源整流にSICショットキーを採用。オーディオ・ホームシアター展にて設計者に確認。
   2013/10/19 UP
4.メーカー評価の雑談    
 各社のSICショットキーダイオード評価の状況を解る範囲でお話します。
オーディオメーカーにより追求する音色が異なるので個人的判断に左右される部分もありますが、ここ最近の高級セットを設計開発しているメーカー(ガレージメーカー含む)10社ちかくの評価として確実に良い結果が出ています。
 現在、数社のダイオードがアマチュアでも購入できますが、「同じメーカーの製品でも特定の製品が好結果でした。」と言う話も聞きますので事前評価が必要と感じています。
 金田アンプが発端で色々評価に参加させていただいた結果、SCS106GA,SCS110GA,SCS120GAが高評価を得ることとなりました。 あるメーカーでは、各社のSICを評価してこれに決めたと聞きました。
ウルトラファースト・ソフトリカバリー・ダイオードとの比較でさらに好結果を得ました。(参加させていただきました)今回、整流ダイオードを交換比較することができ大変有意義な経験をさせていただきました。
 今後も何かあれば、アップさせていただきます。使用回路によって評価が異なることもあると思いますので参考にして独自の判断で使用してください。                           2012/11/27 UP

 セット評価に立ち会わせていただき、(10品種ほど比較評価)SCS106GA,SCS110GA,SCS120GAの評価が高い結果となりました。電流容量の大きい物ほど低域までスピーカーをドライブする力が大きく差があらわれました。
                                                   2012/12/22 UP 
 
 評価の高かったSCS120GAを1ステック購入しシリコンダイオードの置き換えを進めようと進行中です。
メーカー,品番を色々聞き比べてSICによるショットキーダイオードを採用してください。シリコンより良い結果が得られるはずです。組み合わせ?なのか音楽的に効果のないものもありますが決まれば今までに無い最高の音楽を聴かせてくれます。
 真空管用に1200Vタイプも検討して行きます。
 
       
   
M.I.の趣味の部屋