真空管を用いた増幅回路は図2.3に示すように三種の基本回路に分けることができる。
陰極接地型(grounded-cathode type)は格子と陰極の間に入力を加え、陽極と陰極の間に負荷を接続する。陰極が入力端子と出力端子に共通に接続され、ふつうこれを接地して用いるのでこの名がついている。他に、陽極接地型(grounded-plate type)、格子接地型(grounded-grid type)がある。なお、直流電源は図では省略されている。電源の接続法については後に示す。なお、陰極接地型のかわりに共通陰極型(common-cathode typ)などということもある。
つぎに各基本回路で出力端子に抵抗負荷R2を接続したときの性質をしらべよう。
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[1]陰極接地回路 |
回路は図2.3(a)、等価回路は(b)となる。信号入力を正弦波E1とすると、出力電流I2は、
電圧利得は
となる。負荷出力と入力の間に180°の位相差のあることを示していろ。
格子には電流が流れないので電流利得、電力利得は無限大、入力抵抗も無限大である。出力抵抗は真空管の内部抵抗rpに等しい。 |
[2]陽極接地回路 |
回路は図2.5(a)、等価回路は(b)となる。これから、
I2について解いて
電圧利得は
これは1より小さく、R2>>rp/(μ+1)であればほぼ1となる。
入力抵抗は無限大、また電流利得、電力利得も無限大である。
出力抵抗を求めるよう。出力端子に信号電圧をつないだときの等価回路は図2.6となる。これから次の式が得られる。
出力抵抗の値はその真空管の内部抵抗よりはるかに小さくなる。
陽極接地回路はカソード・フォロワ(cathode follower)ともいわれる。 |