カセットデッキと録音機器
使用機種
最近録音はお休み状態です。 
録音メディア
メディアの特徴をまとめてみました。最近はフラッシュメモリーが安くなってきていますので見直しが必要かも。
カセットデッキ改
友人から頼まれセットの部品交換で音質改善を行った例。 
デジタル録音
友人の依頼でデジタル録音変換ボードを作成。 
製品の修理
アナログ録音機器の制作は辞める事にして友人からの修理依頼を受ける。
1.使用機種
アナログ録音器
   以前使用していたソニーのTC-K555ESⅡをいまだに所持しています。(4機種目でいただいた物)昔は、オープンリールも使っていましたが38を買わずにカセットデッキを使い始めました。
用途が、生録ではなくエアーチェックがほとんどでした。
デッキで欠かせないメンテナンス装置が、ヘッドの磁気除去装置です。
ソニーのHE-2を使用しています。(右の写真)
その内内部の録再アンプを自作回路に改造したいと考えて3ヘッドタイプにしています。
  デジタル録音器
  当初は、DATがメインで、ポータブル機器もアイワの製品を使用していました。
今では、色々なメーカーからメモリー録音タイプが出ているので、R-09を手始めにPCM-M10を使用しています。
2.録音メディア  
テープ アナログ記録
 昔の録音は、この方式で保存されています。
レコード会社でも同様で、古いマスターテープなどは、湿気などにより磁気層がはく離していたりしますが、じっくりオーブンで乾燥させると再生可能となります。アナログのメリットです。
デジタル記録
 プロは、テープ式データーストリーマーに録音しています。
そして、湿度,温度の管理された部屋に保存します。
私たちが一般的に使うのはDATですが、民生品は市場から消えてしまいました。(大事に使って行きます)
CD
CD
  一般的なCDは、アルミを使用しているため湿度により酸化や腐食により寿命があります。
1982年に発売スタートし1985年ぐらいから普及が加速して行きます。そろそろ20~30年経つCDが市場に存在し、保存の悪い物は再生不能のものがあるようです。
CD-R
 普通の製品は、反射膜に銀を使用しておりCDと同様または以下の寿命の可能性があります。
CD同様反射膜に金を使用した製品は寿命が長い可能性がりますが、銀でも保護膜がしっかりしていれば変わらないと思います。
CD-Rは有機色素によりピットを作り出すためここの寿命がキーとなります。
個体メモリー
HDD
個体メモリー
 LSIの微細化により実現した録音媒体で、メモリーコントロール技術(エラー訂正など)により成り立っています。
電荷の蓄積で記録するため寿命が存在します。
HDD
 記録容量を考えるとまだHDDが考えられますが、民生品は個体メモリーに主役が変わっています。
   *光ディスクは、寿命があるためプロの長期保存には採用されていない。
    しかし、保存状態の良いまたしっかり管理された工場で生産されたCDなら50年以上の寿命があるはずです。
3.カセットデッキの改造  
  AD-RW9000
 友人からの要望で改造をすることになった。カセットテープは過去のものとなり一部のメーカーが製品をまだ出してくれていますが昔の高級コンポの中古品を修理して使用しているマニアもいるようです。
今回は、現行品のティアックAD-RW900を改造することになりました。内部を見るとしっかり作られており、今回は大幅に改造せずに現状を生かした形で進めていく事にしました。
 左の写真がカセットデッキのアナログアンプ部です。左上にはレコードプレイヤー用のイコライザアンプも内蔵されています。
今は、ほとんどチップ部品で作られているセットが多い中でリードタイプの部品で作られているので改造するのにもってこいです。
 今はオーディオに使用して満足できるオペアンプも色々ありますのでここら辺を見直すことと外付けの電解コンデンサの変更及び削減を検討します。
また電源部分の見直しを検討します。
 まずオペアンに4558と4570が使われていますがOPA2134PAに変更します。
このICはFET入力でアイドリング電流が4558とほとんど変わらない値であることが選んだ理由です。
9個ほど変更するのであまり電流が増えると電源容量に影響が出てしまいます。(ヘッドフォンアンプに別基板でオペアンプが使われていると思いますが変更していません。)
FET入力にすることにより入力のカップリングコンデンサを省くことができます。
 2013/12/3
 カセットデッキのメイン基板を取り外し変更ポイントを吟味します。
アナログの切り替えスイッチに4066を使用しているのでオペアンプの±Vcc電圧が思ったより低めに設定されています。
この基板に9個のオペアンプがついていますがすべてOPA2134PAに変更します。
オペアンプの電源直近に電解コンデンサがついていますのでミューズシリーズに変更します。
信号系のカップリングコンデンサには部分的にフィリップスのBCコンを使用しました。
オペアンプの入力カップリンクコンデンサは省けるところを検討しながら削減しました。
 電源部分は今回コンデンサのみの変更としましたが今後レギュレータ回路の変更など別基板を搭載させてみたいと思っています。
 2013/12/6 UP
    上の基板から回路図を読み取り(左の回路図参考)部品の削減や変更を検討しました。たとえば出力部のミューティング回路部分については省略しませんがイコライザアンプの入力や一部の入力部分のコンデンサは削減しました。(直結)
録音再生の評価はまだしていませんが、再生のみの評価ではあくまで個人的ですが変えただけの効果があったと感じました。評価に使用したテープは、キャサリンバトルの「ザルツブルク・リサイタル」市販品を使用しました。
 
    左の部品が交換して取った物です。
友人に返却して1ヶ月弱がたちましたが評価は上々で違いが十分わかるほど良くなったとのことでした。
この時期は特に乾燥していて静電破壊で部品を壊してしまうこともありますし、部品を外すときに半田ごての熱で部品や基板を壊してしまうこともあります。
購入したばかりの製品を改造するのはリスクを伴いますので経験のある方に任せた方が良いと思います。
 2014/1/17
4.デジタル録音  
  A/Dコンバーター
 友人からの作成依頼で金田先生の書籍を元に私なりにアレンジした回路で進めます。基本的にデジタル部分は同様になりますので専用基板を購入して作る事にしました。 
   2016/01/03
 元の回路は、金田先生の電流伝送方式オーディオDCアンプシステム パワーアンプ&DC録音編: 音楽ファンのための自作オーディオ に載っているものです。回路的にはほとんど同じで定電流の作り方が異なるだけです。
FETをQポイントで動作させ回路電流の温特をできるだけ無くすようにしました。
また電流伝送入力入力のPNPトランジスタ(ミラー回路)に同じ電流を流してあげる事で入力電圧を0Vに近づけています。念のため定数を決めてスパイスシミュレーションを行い動作確認をしました。
 レギュレータ回路はバッテリーを使わないため私の作ったもの8V,5V,3.3V出力の3つを作製します。
 電圧入力と電流入力の共用回路は失敗で下のように別々の回路になってしまいました。(下図)
   

【電圧入力回路】
 
【電流入力回路】
 電圧入力・電流入力ともに似たような回路だが動作は全く異なっている。先に電流入力の説明をしておきます。
入力に繋がるFETはほぼ定電流動作で、この電流と入力電流の合成が下のPNPトランジスタに流れます。次段のNPNトランジスタは作動回路ではなくエミッタ接地の増幅回路とベース接地の増幅回路の合成になっています。このためFETによる定電流回路を設けてベース接地増幅のゲインをできるだけエミッタ接地のゲインに近づけています。出力段の上のPNPトランジスタは定電流動作となります。
 電圧入力の場合は、初段の上下の電流が入力電圧によりコントロールされるので対角となる出力トランジスタがエミッタ接地で動作し対となるトランジスタはベース接地動作となります。電流入力と異なり上下ドライブが可能なため対称動作が可能です。まずは電流入力の回路で進めて行きます。若干変更した回路をアップしました。
   2016/5/22 up
 
 
 上の写真ががデジタル部になり、次の写真が電流入力のアンプ部と±8Vのレギュレータになります。
デジタル基板は知り合いのdcamp.bizより購入しました。チップ部品を使用するときは専用基板が楽です。 
アナログ部は、変更した回路で作成するので蛇の目基板で作製しました。
 この基板は現在友人の家で稼働中です。
   2017/2/19up
5.製品の修理  
  TC-K555ESⅡの修理
  1984年生産されたハイクラスのカセットデッキで特に昔はFMラジオのエアチェックに使いましたが30年以上倉庫に入れっぱなしでした。久々に電源を入れてもほとんど動きませんでした。
まずは、ゴムベルトが伸びきっていましたので交換することにしました。この製品はベルトが一か所にしかなくメカ部分が本体からブロックで外しやすい構造になっていました。回転部分をきれいにふき取りグリス(写真下)を再塗布しました。
ネットに修理の写真が載っていましたので参考にさせてもらいました。
左の写真はメカブロックを本体から外した物です。
 ゴムベルトを交換したのですがリールモーターは動くのですがキャプスタンモーターが動きません。
ネットの修理記事を見ていると同様の不具合がありその原因が見つかりました。試してみると正解でした。
キャプスタンモーターの制御基板が上の写真の左側側面にあります。ここに半固定抵抗が5個並んでいますが一番左側は(黒い)スイッチになっています。部品を外してテスターで確認するとわかります。このスイッチの接触不良が原因でした。このスイッチはモーターのメンテナンス時に切り替えて使われるようなので今回はスイッチを取り外し動作モードに固定する修正を行いました。(下の写真)
黄色い丸の部分を
リード線でショート
 購入して40年近く立っていますがあまり電源を入れていないので電解コンデンサなど交換する必要はなさそうです。 このほか全体のクリーニングと電源コードの交換・ゴム足の交換を行い録音テストをして完了としました。
この製品は、私が持っていても使用頻度が限られるので友人に譲渡することにしました。
2024/1/18 up
  TC-K5の修理
 友人よりTC-K5の修理依頼がありました。再生時・録音時それぞれ別チャンネルの出力が出ない・ノイズがのるなどの不具合が発生。
今回は回路図があったほうが良いのでネットで無料の資料を探してみたところ入手できました。
  2024/1/20 up
   まず最初の不具合は、再生時に右側の出力にノイズがのるというものです。
再生音は左右共に出力されるのですが右側のみ無音状態でも一定のノイズが発生。
このような不良は多分初段のプリアンプの場所が原因と考えられます。ヘッドからの信号を高感度に増幅するアンプなのでトランジスタの性能消化で、十分考えられる症状です。
周波数特性(NAB)や位相補償などのコンデンサを取り除いた回路図を左に載せておきます。
 製品には2SC1345が方チャンネル2石使われています。入手が出来ないのでTr1に2SC2676、Tr2に2SC1845へ置き換えてみることにしました。
初段の2SC2676は0.1mA前後で使われる用途に開発された石ですので最適なトランジスタです。2SC1845は、2SC1345の同等品として選んでみました。
直流帰還の470kを外すとギターアンプになります。(Hfeも100前後を使用)
 再生時に右チャンネルにノイズが入る(かなり耳障りなノイズ)ので初段NABアンプのトランジスタを交換して確認したところクリアーな音楽再生ができ解決できました。問題のない左チャンネルも同じに変更しました。
右の写真の大きなモールドトランジスタが2SC2676になります。
大きいパッケージに入れることにより発熱による影響を極力抑える構造です。
交換したトランジスタのリード線が黒くなっていましたので銀メッキされたもので銀によるイオンマイグレーションが起こり始めていてこれによるノイズ発生ではないかと思われます。
 もう一つが「録音時に左のモニター音が出ていない。」という不具合です。
ライン入力からオシロで信号を見て行くとマイク/ライン切り替えSWがあやしい事がわかりクリーニングを実施しました。その結果この問題も解決できました。
   不具合の問題が解決できましたので、全体的なメンテナンスを実施しました。音質改善目的で一部の電解コンデンサを交換しました。(左写真)ゴム足が無くなっていましたので購入して装着しました。電源コードも固く弾力性が無くなっていましたので交換しました。
 以上の改善で音質がかなりクリアーになったと思います。(一応8時間ほどエージングして確認) 
   2024/1/23
   

M.I.の趣味の部屋