サーボ回路の新設計
1.DP-3000の見直し  
 デンオンのDP-3000は、ダイレクトドライブのローコストバージョンとして多く作られていたと思います。
実際に今使われている人が少ないのでわないでしょうか。パナソニックのSP-10は金田さんによる制御回路の制作が書籍があり基板なども販売されているのでマニアの目をひいています。そこでDP-3000にも新しい制御回路の検討を行い復活させてやりたいと考えました。
基本的な考え方は、金田さんの回路と変わりはありません。モーターの違いやセンサーの違いで回路が異なるだけです。うまくいかない場合もありますが、まずはトライしてみたいと思います。

【図1】エッジ検出+モノマルチ回路
 FGアンプは、東芝のTA7061APというラジオやアナログテレビのIFアンプとして使われていたICを使用しています。出力負荷が1KΩの場合0.8Vの飽和電圧が出力されます。これを図1の回路にいれてパルス波形の両エッジパルスを作り出しこのパルスをモノマルチに入れています。
このパルス時間をボリュームで可変することにより回転数の切り替えや調整をおこないます。
この回路の出力をフィルターを通して直流化し基準電圧と比較してモーターに流れる電流を制御するというFGサーボ回路となっています。(図2)
 
【図2】フィルター回路+電流制御アンプ

【図3】レギュレーター+回転数切替
2.新サーボ回路検討  
 TA7061APは現在ではなかなか購入することが難しいので汎用のオペアンプを使用します。また位相制御も組み込むためFG波形の両エッジを使わず片エッジで動作させることにします。(正確にデューティー50%のエッジをとらえることが難しいので)
つぎの段のモノマルチはタイマーIC555を使用し、出力はフィルター回路の後にサンプルホールド回路を設けて直流化させます。
ACモーターの波形は、電源の50Hz(60Hz)を利用せず発振回路により50Hzを作り駆動用のアンプに送り込まれます。この間に電子ボリュームを置きFGやPGの制御電圧によりコントロールされます。
  このプレイヤーは、FGサーボのみにより制御がかかっています。モーターの制御は電流制御で行なわれているのでこのままでは位相制御を追加することができません。(モーターに直列にダイオードとトランジスタがつながりエミッタ側の抵抗5.1Ωにより電流に変換される。回転が速すぎたときは、電流が0になるだけでモーターはフリーになってしまう。)
位相制御は、素早く回転をを合わせに行きますのでアクセルだけでなくブレーキ機能が必要になります。(あくまでもFGで正しい回転に引き込ませ最後にPGで細かくあわせ込むように調整すします。)
つまりモーターをBTLアンプによる電圧ドライブ方式にして直流までモーターにかかるようにしてあげる必要があります。(モーターは両端をショートしてあげるとブレーキがかかる。単相モーターは直流をかけるとブレーキが効く)
おおよその回路図を下に示します。

【FG&PG回路】 

【OSC&VCA&ドライブ回路】
 発振回路のゲイン調整回路部を左の回路のように全波整流タイプにして整流後のDC成分変動をできるだけ安定にさせることにしました。 

【モータードライブ回路】
 基本的な回路構成は金田先生が制作したパワーアンプを流用させていただきました。初段のFETは2SK185かμpc71Aを使用する予定です。初段の差動回路に供給する定電流は5mAほど流しFETのQポイント近くを利用します。設計的には出力段に30mA程度のアイドリング電流を流し定常回転時はピークで200mAほど流れることになります。温度補償に1Kのサーミスターを出力トランジスタに付けます。
SCT2450を使用する事により入力容量が軽減されドライブ段なしで駆動させています。このアンプは50Hzのみの増幅なのでスルーレートも問題ないでしょう。
見直しにより定数を変更しました。後は実際に測定して調整します。
 2015/6/10 UP
 SCT2H12NZが発売されたのでこれを出力段に使用してBTL駆動ではなく90度位相の信号を作って2つの位相でモーターを直接ドライブする回路にしてみようと思います。90度位相の発信器をまずは作製します。下図にその回路を載せておきます。アンプもBTL出なくなるので±130Vの電源に変更しました。駆動立ち上げ時に電圧振幅が必要なので(製品の回路図より見ると50Hzで最大200Vppの電圧振幅が可能となっている)発振周波数を下げて振幅を抑える事ができますが下げすぎるのも問題になるので変更しました。
  2016/11/1 UP
 ここで使用されているモーターは、コンデンサ・ラン型単相モーターで二層モーターと似た動作をさせています。
起動時のみコンデンサにより90度位相をずらした電流を流すタイプと常時動作させているタイプがあります。
起動時のみであればコンデンサで良いのですが常時動作であれば意味があるかもと思っています。
位相制御を効かしていれば意味はないと思いますが、音楽のプロ方などピッチが違うので合わせ込んで聴くという人もいるので周波数制御だけをかけた使い方では違いがあるかもという程度です。
二層モーターとは異なるのでコンデンサーの繋がる相には電流を抑える必要がありそうです。
  2017/3/14 
 出力段のトランジスタの温度特性を初段の負荷にサーミスタを入れて補正していましたがジャンクションFETにより補正できるのではという考えから考えついたのが下の回路です。(補正が十分でなかった)
補正FETには2SK366という東芝の廃盤品を使います。仕様書上では少し異なりますが2SK170と同等です。
Iqが13mAぐらいにあり、2mAほど流すことによりわざと温度特性を持たせ出力トランジスタに熱結合させます。
電源電圧も少し下げてみました。(±100V)
   2019/7/20 up
  上の回路図を制作できる基板を作っていただきました。抵抗値やトランジスタを選ぶことにより色々なアンプに使用することができます。
基本回路は金田先生の回路で温度補正だけが異なります。差動回路の電流は定電流回路からシンプルな抵抗のみに変更しました。
温度補正用FETの定電流回路は高温になると大きくなり低温では小さくなる特性です。この回路とパラにつながる抵抗で高温では両端の電圧が小さくなり低温では大きくなるように変化します。この電圧変化が二段目の差動回路の電流値を変えます。この電流が2.7kに流れることにより出力のアイドリング電流を温度補正する原理です。
サーミスタによる補正より広い温度範囲で補正をすることができます。
   2019/7/22 up
 
   

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