真空管プリアンプのコピー
1.リファレンスプリ  
 真空管プリアンプと言えば、昔からマランツ7,マッキントッシュC−22,クオード22が有名で私には手の出せる製品では無かった。
共にNF型のイコライザで、プリアンプのお手本となる製品です。
マランツ7は、三極管のソース接地回路2段にソースカソードフォロワを加えた3段構成のアンプにNFをかけているため発振しやすいですが、2段目から初段に22pFでわずかに正帰還をかけて位相を戻す位相補償をかけて巧みに処理しています。
 マッキントッシュC−22は、正攻法で三極管のソースカソード接地回路2段にNFをかけ出力にソースカソードフォロワを設けた構成で安定なアンプを実現させています。NFのインピーダンスが2段目の負荷となるためマランツ7と比較して大きくしています。また2段目のプレート電流も増やして対応しています。
 クオード22は他のアンプと異なり五極管1段構成で低域をNFにより作り高域は、CR型で行っています。これほどシンプルなイコライザアンプは無く小型プリアンプのお手本となる製品です。
私も、学生時代に勉強目的でマッキントッシュC−22のイコライザ部分のコピーを作りました。
*修正・FETと真空管がゴッチャになってました。
2.マランツ7  
 
■ 回路の特徴
   初段及び2段目の12AX7には、かなり絞った0.34mAのプレート電流を流しています。gmをおさえ負荷抵抗とのバランスによりオープンループ特性(周波数)と最適な位相補償定数を作り出していると思います。
出力段のソースカソードフォロワに対しては2mAほどの12AX7としては大きな電流を流してこの段の高域ポールを高い方に押し上げていると考えられます。
プリアンプのような数の入力を増幅するアンプの入力には、高周波をカットさせるために低容量のコンデンサがついています。(100pF)強電界地域で非線形部分で検波されラジオが聞こえるなどの現象が起こることがあるからです。
 
■ 使用部品
   この時代の部品には個性のあるものが多くそれを組み合わせることにより優れた音を作り出している製品が多い。
マランツ7にもそのような部品が色々使われている。
カップリングコンデンサにスプラーグ社のバンブルビーコンデンサ、抵抗にA&Bのソリッド抵抗,ボリュームにクラロスタット,真空管はテレフンケンのECC83などである。
バンブルビーコンデンサは、1960年には製造中止になっており真空管も中々入手困難という状況で50年もたつ初期のコピーを作るのは不可能である。
昔聞いていたジャズ喫茶での音を思い出して(無理だ)現代部品を組み合わせて作り上げるのも楽しみの1つでは! 
3.マッキントッシュC−22  
■ 回路の特徴
   初段にはマランツ同様0.37mAほどの電流を流していますが、2段目には3倍ほどの1mAの電流をながして負帰還回路の負荷に対応すべく少しでも出力インピーダンスを下げるようにしています。
また、マランツに比較して負帰還回路のインピーダンスを高くして負荷が重くならないようにしています。
2段目と3段目をDC直結させまた出力段から2段目のカソード抵抗に電流を分流させ抵抗値を下げてカップリングコンデンサを省いています。低域での時定数をできるだけ省いて負帰還を安定にかける設計です。マランツとの大きな違いは、2段目から負帰還をかけている点です。 
4.クォード22  
■ 回路の特徴
   五極管による一段増幅回路で、中低域のみNFによるイコライザをかけて高域はCRにより実現させています。
高域の入力ダイナミックレンジをかせぐためにアンプの前にCRイコライザ(高域)を設けているためアンプで発生する(高域)ノイズに対しては不利となっています。
五極管の特性を生かしてシンプルな構成が特徴です。 
   

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