PT15Sパワーアンプ
1.回路検討  
  あまりコストをかけずにヨーロッパの真空管を使用したパワーアンプを作ることにしました。
選択した管はは、PT15です。どうもトップ・プレートなどの製品は、人気がないようで安価に購入できます。
音は、DA30に似た所もあり一部では評判も良さそうです。
 三極管接続で使用するので、プレート電圧と電流によりますが−30〜−40V近くのバイアスとなり初段のゲインもある程度高くさせる必要があります。パワードライブかトランスによるドライブで+までドライブしてやれば、ハイパワーにすることができます。今回は、シンプルに五極管を使用することにしました。
 初段のカソード抵抗などまだ変更する必要がありますが、まずは全体の回路を下に載せました。
  PT15は、三結で使用すると非常に直線性が良く初段の歪みも少なくする必要があるかも知れません。初段に5極管を使用する場合一般的にはシャープカットオフタイプを使用しますが、動作ポイントや出力段との歪み相殺を考えると色々試してみることも必要です。
 ヨーロッパ管として手持ちにあったCV1053をまずは候補として上げましたが、6J7Gや三極管も検討してみようと思います。歪みとドライブ能力を高めた回路として下回路図を検討してみようと思います。
 
 出力トランスをタンゴにするかタムラにするか検討している時に(有)アイエスオーがタンゴトランスの製造を中止するという情報を知りました。
ローコストで性能の良いトランスがなくなっていくのは残念です。
今後のことも考え他に安くて良いトランスはないものかと探していたところOP5K8Aというトランスを見つけました。
中国製だと思いますが、コアは新日鉄のオリエントコア(0.35mm)で線材は無酸素銅線を使用しており試聴もして納得し購入することにしました。
このアンプにはOP3.5K35APROという300B用のものを使用することにします。
3.6Kgとコアボリュームの大きなもので低域を重視して選びました。
 PT−15を三極管接続して使いますが、仕様書を見るとスクリーングリッド(G2)の耐圧が300Vと低い値でこれを守って使用するか検討しましたが、オーバーして使用することにしました。元々送信管であり多少のオーバースペックに耐えうるという判断からです。
G2の仕様として10mA,10W以下という部分はクリアーできるので三極管接続で400Vかけて70mAという動作で決定しました。
 電源については、整流管を使用せずロームのSICショットキーダイオードを仕様します。
平滑コンデンサにフィルムコンデンサを使用するため電源投入時のラッシュカレントに気をつけるため抵抗とタイマー管で少しだけ突入電流を抑えることにしました。
初段の回路も色々考えましたがシンプルに五極管のアンプで進めることにします。    2013/6/20UP
2.主な使用部品  
PT15
   DA30に近い音を出すと言われておりコストパフォーマンスに優れた球です。
トッププレートタイプの真空管は、人気がないので性能のわりに安く購入することができます。
 
CV1053
   作りのしっかりした球でしたので以前購入しました。シャープカットオフではないので動作ポイントをうまく選んで歪みの少なくなるように調整します。
6J7と比較して最終的に決めます。
 
SCS105KG
   ローム製の1200Vショットキーダイオードです。
SICによるもので管球王国Vol.68にて紹介されています。低域が気になる場合には、パラに使用すれば申し分のない音質を実現できます。
 
OP3.5K35APRO 
   3.5kΩ35Wシングルトランスで、DC100mAの電流を流すことができる大型のものです。
300B用に作られたもので周波数特性も10Hz〜75kHz(−3dB)と広い特性をしめします。
3.現代アンプ  
 
【回路案1】
 
【回路案2】
 色々考えましたがDCサーボをかけないできるだけシンプルな回路案2を作製することにしました。
   2017/3/13 up
 CDやレコードが増えて置き場が無くなってきました。そこでもう一度見直して2つの異なるパワー管を差し替えて使えるシングルパワーアンプを一台作ってみようと思いまたもや回路変更です。
  2017/5/20 up
 ヨーロッパ管の中で気に入っているPT15と4033Aを差し替えで使えるアンプです。大きな球と小さな球なので普通なら考えない組み合わせだと思います。ヒーター電圧が少し異なるので切替SWが必要かもしれません。PT15は三極管接続で使いますがプレートと直結するグリッドに直列抵抗を入れることができないなど制約があります。定格電圧を多少超えた使用にもなります。
とりあえず問題があるかもしれませんが実験してみようと思います。
  2017/5/20 up
   
4.シンプルパワー  
 837シングルで採用したスクリーングリッドの電圧を下げる方法がうまくいったのでPT−15の耐圧を超えた使用は避けるべきということでこちらにも採用することにしました。
   2020/5/5 up
 電源を手持ちのトランスに合わせて電圧を変更しました。この回路でバイアス電圧を可変させる事とソケットを変えることにより他の出力管をドライブできるようにします。
例えばKT−66を三極管接続させて使用する場合はプレート電圧を400V,グリッド電圧を−38Vへ変更するか、PT−15のようにスクリーングリッドの電圧を400V以下に抑える事で使用できます。
電流は60mAほど流しトランス負荷は5Kが最適になります。
  2020/5/5 up 
 NJM7400をディスクリートで構成したのが上の回路です。いろいろ欠点もありますが周波数特性が100kHzぐらいまでほぼ平らなシャントレギュレータを作ってみました。左図が最終回路です。
電源部分を、下図に掲載します。(定数見直して修正)
出力段の電源電圧をできるだけ高くするのて電源のコンデンサーの値が大きくなりすぎたためレイアウトのバランスが悪くなりました。小さくするかもしれません。(40→20μF,400→200μF)このバランスが電源投入時の電圧のオーバーシュートを抑える定数になります。
   2020/5/25 up
 
 コンデンサはリファレンスのところのみで動作させてみました負荷はDC2.5mAに±1.7mA,2kHzで安定し4Vのシャントレギュレータ動作を確認できました。(DC16mAの確認もしてあります。)
0.7mAほどの回路電流が必要なのがディスクリートの欠点ですが8mAほどの電流で使用するのでAC的にも問題ない領域で動作できると思います。
 SICのパワーアンプで利用させていただいた基板を使って上図の250Vのレギュレータ を構成しました。本来50V以下として作られた基板ですので大きな部品を想定していないので多少小型部品に変更しました。
出力電圧を決める150kの抵抗は1Wが必要なのですが同じ抵抗(金属皮膜)がないので1/2W300kをパラにしました。
LEDに電流を流す抵抗は2W以上必要なので酸化金属皮膜抵抗を使用しました。
2SA1486は、TO−126パッケージで大きいため2SA1937に変更しました。
定電流は2SK303−3から電流の低いもの選んでソース抵抗を小さくしています。1.5mA弱で250V出力となります。電源トランスのタップがもう少し低い電圧があればいいのですが290Vを使います。
出力段のバイアス電源を作れば完成です。
 まずは、完成レギュレータ基板で簡単な評価を行い問題ないことを確認しました。ただ出力負荷は1〜3mAの周波数変動を行う程度で行ったので位相補償などなしでも安定していました。ただ仮シミュレーションにより1〜40mAの負荷変動をさせると発振はしないのだが多少歪みが大きくなるので帰還抵抗150Kにパラにコンデンサを入れてあげる必要があると思います。(想定は220pF)また出力のコンデンサも6.8μFから20μFに変更しました。
最終的に実負荷で調整します。
 今回、STQ1NK60ZRという高耐圧のNchMOSトランジスタを購入することができたのが良い結果となったと思います。
  2020/5/19 up
 最後の設計がバイアス用REGです。上図のように左右独立の電源を作りました。バイアスなのでDC電流が流れないため抵抗をプラスしてアイドリング電流を流してあげます。真空管のばらつきを調整できるようにそれぞれ半固定抵抗で電圧が変えられるようにします。
完成するとケースのレイアウトと穴開けをし配線する作業となります。またあまり時間がとれず完成には時間がかかりそうです。
  2020/6/7 up 
 最近、レギュレータの検討を色々進めている中でツェナーダイオードにはメーカーやプロセスにより異なる物がある事が解りました。以前作られていた東芝とか日立の中でローノイズで優れた特性のツェナーを使い回路をシンプルにすることにしました。
  2022/5/26up 
 
 

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