半導体ヘッドフォンⅡ
4.デスクリートHPアンプⅡ 2014/1/6UP
 最初に作った時はオーディオブームの時で部品も豊富に手に入れることができましたが、今はなかなか見つけるのに苦労するようになりました。
そこで今購入できる部品で新たに回路を見直して見ることにしました。
基本的な回路は、26年前に作ったCDデッキのI/V変換用ディスクリートオペアンプの回路です。出力段のみを電流がもっと流せるように改良しました。 (
2段目の負荷をミラー回路に変更しています。(温特による電流変動を避けるため)
  
 せっかく作るので今まで以上の音質重視のアンプを考えBTL出力としました。高級ヘッドフォンアンプを制作しているメーカーの人からBTLにすると音の立体的な定位が違うと教えていただいたのがきっかけです。
また、2013年のヘッドフォン祭では参考出品が色々出ていたそうで話題にもなっていろようです。(まだ一度も見学に行けていません。)
出力段には30mAほどアイドリング電流を流しAB級動作とします。一部のメーカーから30Ω以下のインピーダンスのヘッドフォンが発売されておりピークでは電流を流せるようにしておきます。
電源はLEDによる基準電圧を利用したレギュレターを使用し整流はオペアンプの時と同じSICショットキーダイオードによる整流を採用します。
下図にBTLを採用した回路を掲載します。プリドライブ段の750Ωは、FETのIdssにより調整が必要です。
Idssが6mA以上のものを使用して3mAほど流すようにします。
  主な使用部品
 
2SK185
 ジャンクションFETの2個入りタイプが少なくなってきており皆さんが使われていないようなので採用することにしました。ソニーのFETです。 
仕様書のデータを見ると2SK43を2個つけたような素子です。
 
SSM2220S
 アナログデバイスのPNPトランジスタ2個入りタイプを使用します。 マイクアンプやテープヘッドアンプ用途のデュアルトランジスタです。
最終的には音質重視で判断します。
 
 
2SJ103,2SK246 
 PチャンネルJFETは限られた製品が流通在庫で残っているのみであまり見かけません。唯一購入できる東芝のBLランクを使用します。
Vgsが-0.7Vぐらいで2mAほど流せる特性を必要とします。 
 
2SA1359/2SC3422
 出力段には東芝の2SA1359/2SC3422を使用します。1AまでHFEがフラットな特性をしています。
実際は30Ωでせいぜい300mAぐらいしか流れません。
ヘッドフォンのインピーダンスや感度によりますができるだけA級動作での使用を目論みます。
 最終回路
   色々試行錯誤で回路検討を行ったが、各素子の温度特性から直流電圧に対してサーボをかけた方が良いと判断して下に載せた回路で進めることにした。
(IC化すれば素子の温度特性をキャンセルして実用になると思いますが)
定電流回路回路にはFETをQポイント近くで使用し温度の影響を少なくさせています。LEDやトランジスタのVfの影響がありますがDCサーボをかけ実用レベルに押さえ込みます。
 
   
5.デスクリートHPアンプⅢ 2017/9/1UP
 部品(オールJ-FET)を購入できるのもこれがそろそろ最後かもしれないということで製作をすることにしたアンプです。性能はキープしながらポータブルを意識し±9Vで動作をさせることにしました。 
インピーダンスの低いヘッドフォンには対応できないかもしれませんが出力段には電流の大きな2SK369Vをパラで使用しました。
  2SK369Vを30個購入してまずはIdssを測定してみました。
あまり長く電気を通電しているとトランジスタの発熱により電流値が少しづつ変動しますので手早く測定します。
結果として15~23mAにランダムにばらついていました。
今回はその中から18~21mAぐらいの物を選び今度はソース側に5.1Ωを繋げて定電流値を測定しその中から4組のペアを作り使用します。
実際の回路では、1素子に15mAほどの電流を流して使用しますので出力段には2倍の30mAの電流が流れます。JFETのゲートには大体-0.05Vのバイアスで最大±0.3Vの振幅を加えることができます。
(Nチャンネルのゲート電圧は+0.3Vまでドライブすることができます。)
このアンプは、電源電圧と出力段の電流から見るとインピーダンス200~300Ωのヘッドフォンが最適な組み合わせになります。
 たまたま2直のリチウムイオン電池が余っているのでこれを2個使ったヘッドフォンアンプを作ることにしました。7.4Vのバッテリーになるので見直した回路を検討してみます。とりあえずは、下記回路で進めます。
   
 
 
 出力段のソース抵抗を無くしたタイプを作って見ました。電源電圧が低いと温度特性で電流が増えても精々倍になるだけで壊れることはない。初段の定電流でマイナスの温度特性を持たせているのでキャンセルできています。電源電圧が低いのでこのような多少無謀な使い方が出来ます。
ソース抵抗を無くす事がAB級アンプのクロスオーバー歪を少なくする事に貢献します。
制作したDACなどを簡易評価するのに持ち歩き出来るポータブルヘッドフォンが欠かせません。
一応、ケースに入れた写真を下に載せておきます。まずは、充電する時に一々ネジを外して電池を外さないといけないのですが何れは小型の外部コネクタを付けて充電できるようにしたいと思っています。
500mAhの電池で現状無信号時30mAほど消費するので多分1回の充電で10時間は使えるはずです。
(電池は、ケースの隙間に押し込んだだけです。)
   2022/7/17up
 入力にボリュームが必要になり、また電池の充電に一々ネジを開けて電池を取り外すのが面倒なので端子を設ける事にしました。ただ、都合の良い3ピンの小型の端子が見つからななったので小型のヘッドフォン端子を利用しました。これは刺すときに2端子がショートするので危険なのですが電源スイッチをONにした時電池が端子に繋がらないようにして回避させました。(もちろんOFFで挿し込むとショートします)
デザインが悪くなりましたが実用としてOKとしました。
6. SICヘッドフォンAmp  
 SICのパワーアンプを作っていて余った部品でヘッドフォン用アンプを作ることにしました。
インピーダンスが60~300Ωなのでgmの小さいSICでも使用可能となります。
   2020/9/12 up
 
   
7.ヘッドフォンの改造 2014/1/11UP
 現在市販されているヘッドフォンにはバランスタイプの製品は無くグランド共通のシングルドライブタイプです。
そこでバランス駆動させるために改造する必要があります。一部の製品で配線が取り外せる物の一部に他メーカーからバランス出力用配線が出ています。 
自分で改造する場合一番簡単なのはジャックまでの配線がLR独立しているタイプです。キャノンやDINコネクタに付け替えればバランスドライブが可能となります。
 
【ATH-ESW9】

【HPC-26T】
 ATH-ESW9をバランスタイプに改造してみます。配線はジャックまで4本できていそうなのでコネクタのみの交換でOK。しかし、細いリッツ線だったのでHPC-26TというPCOCC-A平行ケーブルをオヤイデ電気で購入して交換しました。
配線の交換だけでも高域がのびて低域がしまって十分満足できる音質となりました。
 左の写真が今回使用する5ピンの小型ソケットになります。ポータブル用途も考えるとキャノンコネクタは大きすぎます。一般的なヘッドフォンジャックへの変換ケーブルも用意しておきます。

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