色々な電池&充電回路                     
1.色々な電池  
種類 容量(mAh) 電圧(V) 備考
単4 マンガン黒 450 1.5
アルカリ 900 1.5
単3 マンガン赤 700 1.5
マンガン黒 1000 1.5
アルカリ 2000 1.5
ニッカド(NiCd) 700〜1000 1.2 モーターなど高負荷に最適,メモリー効果に注意が必要
ニッケル水素 1300〜2700 1.2 熱に弱いので充電には注意が必要
単2 アルカリ 5700〜7700 1.5
単1 アルカリ 12500〜17000 1.5
006P マンガン黒 300
アルカリ 500
2.鉛電池用充電装置  
  鉛電池の充電器

【鉛電池充電回路】

  赤道儀のスカイセンサー2000PC用電源としてローコストな鉛電池を使用しています。鉛電池には、車に使われているような「開放型」と「シールド型」がありますが、中の硫酸液がこぼれないようシールド型を使用します。内部で発生した水素ガスをバッテリー液に還元するしくみがあり、ガス抜きの穴がありません。
 しかし充電時に過大な電流を流してしまうと内部に多くのガスが発生し還元が追いつかなくなり性能低下をまねきます。充電電圧は12Vタイプで約14.5Vで、最大電流はバッテリーの大きさに合わせてそれぞれ決められているのでしっかり調整が必要です。上の回路は、秋月のキットを使用しました。

 
実際に使用している鉛蓄電池は、12Vの7Ahですので充電電流は、充電電池容量の1/10になりますので700mAほど流すことになります。カレントリミッター回路のボリューム500Ωを調整して電流値を合わせます。
充電電圧は、トリクル(フロート)充電で13.8V,サイクル充電で14.5Vほどに設定するようですが充電時間により調整することにします。
電源トランスは、電池の資料を参考にAC20Vをブリッジ整流して使用することにしました。
出力用トランジスタは、充電開始時には非常に大きなパワーの発熱をします(10Wぐらい)ので大きな放熱器を付けました。
 
  トランジスタは、オーディオのパワーアンプに以前使用していたNEC製の2SC2681を使いました。
このトランジスタは、マルチエミッタ構造のもので割合HFEが安定な為1石で対応しましたが場合によってはダーリントンにした方がよいかもしれません。
出力電圧がICのばらつきで設定電圧を上げられない場合がありますので4ピンとグランド間の抵抗を7.5kから6.8kに変更してみました。 
   充電電池には用途による分類としてサイクル使用とスタンバイ使用とがあります。 充電と放電を繰り返しながら使用する一般的なものと、充電し続けていていざという時に使用する使い方です。 鉛電池は、この使用の仕方で充電方法が異なります。 
サイクル充電では、2.4〜2.5V/セルの電圧をかけるのに対しスタンバイ充電では2.275V/セルの電圧で充電を行います。標準的な電流値は0.1C10Aで少なくとも0.3C10A以下で充電します。
   (電池の種類やメーカーにより異なる)
従って、12Vの6セル鉛電池では、サイクル使用の充電電圧は14.4V〜15Vが必要となります。秋月の充電キットでは、スタンバイ使用の充電方式にしか対応できないので改造することにしました。
鉛電池用チャージャICとして東芝にTA8532Pというものがありましたが、今は廃番のようで手に入りません。そこでこの回路をTL723を利用してたりない部分を外付け回路でおぎなった物を作ることにしました。
検討中の回路を下に載せておきます。(動作確認中なので決まったら定数を書き込みます)
この回路は、TA8532Pと同様(のつもり)に充電する電池を繋ぐと2Ωの電流検出が反応してLM723の基準電圧を少し増幅して結果として充電電圧を高くします。最大充電電流は、5Ω側の電流検出で決まる電流で抑えられます。
充電が進み、充電電流が減ってくると2Ω側の検出回路が反転して充電電圧が下がるように動作します。

【鉛電池充電回路U】
鉛電池の特性
    鉛電池は、一時的に大きな電力を供給する事ができ、一般的に6Cの電流を取り出すことができる特徴があります。しかし、電極の周りにサルフェーション(PbSO)が成長して能力の低下を引き起こします。この状況は、充電終了後に始まり10.2V以下になると顕著に起こります。
充電をし始めるとサルフェーションは溶けて無くなりますが、結晶化したサルフェーションは溶けません。充電次にパルス電流を加えて結晶を電極から剥離して電池を復活させる回路もありますが、ある程度しか復活させることはできません。他の電池と異なりこまめな充電が必要になります。
3.リチウム電池充電器  
  充電の方法 
1.プリチャージ   電池電圧が2.5V以下に下がってしま場合0.1Cの電流で1時間ほど初期充電をしてあげる必要があります。 
2.定電流充電   2.7Vから4.2V(4.1V)になるまで1C以下の一定の電流で充電を行います。 
3.定電圧充電   電池電圧が4.2V(4.1V)になったら今度は電圧一定で充電を行います。充電電流が、だんだん下がっていくので例えば1/10になったら充電を終了させます。 
特にリチウム系電池は、きっちりした保護回路がないと充電をする時の危険もあり存在します。充電器の自作は理解した上で自己責任で進めてください。
 当初、充電電圧は4.1Vでしたが、電池容量の増加とともに少しでも容量アップを期待して 4.2Vに変わってきたようです。
リチウムイオン二次電池はメモリー効果がない(きわめて小さい)電池ですが、満タンでの保存や使い切っての充電に弱い欠点があります。 
  ディスクリート部品による自作回路
 リチューム電池は、特に過充電や過放電により発火する危険があるため設定電圧や電流には注意が必要です。十分理解したうえで設計・作成にあたってください。
下の回路はディスクリート構成の回路例で、1セルの場合は3.6Vと電圧が低いため基準電圧はツェナーではなくバンドギャップリファレンスタイプ(IC)を使用します。
回路的にはシンプルで、充電電流は設定抵抗により決まった電流以上を流さない制限が働きます。充電電圧が上がってくると設定電圧以上に上がらないよう回路的にクランプされます。 
 
  LTC4054−4.2による充電器 
 
 ほとんど内蔵されているので、外付けは充電電流を決める
抵抗と充電中を表示するLED回路のみで動きます。
電源入力に1Ωを入れてICの発熱を抑えています。
3.6V(or3.7V)のワンセル充電回路を非常に小さく作成できます。
パッケージが小さいのに最大
800mAの定電流充電が可能です。
 
  ディスクリートによる2セルの充電器
 
 ディップメーター用(測定器)に使用したリチウム電池8.4Vの電池をCC−CV充電を行う為の回路です。まだ満充電の表示機能を付けていませんがオペアンプの方チャンネルが遊んでいるので電流センシングで表示させる事が簡単にできます。
今回は、500mAhの電池なので200mAほどの定電流充電にしました。
 左の回路を見ていただければわかると思いますが、TL431を基準電圧として差動増幅器による8.4Vのレギュレターを構成しています。
定電流は、電池のグランド側に抵抗を直列に電流センシング用に入れてオペアンプにより構成させています。出力を定電圧の制御トランジスタに繋げる事により定電圧設定値より低い所では定電流が働くように動きます。
12V入力で8.4V出力を得るためhfeの大きなトランジスタ1石でドライブしました。
低温動作も考え定電流は6mAほど流しています。電流値が大きいので差動のエミッタ側も抵抗では無く12mAの定電流にしました。
CC-CV動作を基板を作成し確認しました。
   2021/10/14 up
 
 
 最終回路が上の図になります。制御トランジスタに東芝のTC004Bを選びました。HFE100程度を考えバイアス電流能力を十分満足できる6mAを2SK117の定電流回路で流しました。
一番重要な定電圧は、基準電圧をTL431にて決めています。リチウム電池は、充電電圧最大を1セル=4.2Vで押さえないと性能消化が起こりますので温度変化も含めて抑えないといけません。
それに対して定電流は多少の温度変化を許しています。定電流は、電池と直列に繋がる1Ωに発生する電圧で制御しています。オペアンプにはグランドセンス入力で動作可能なCMOSオペアンプ(Vcc=12V動作)を使用しました。
 約200mAの定電流による充電を行い端子電圧が8.4Vになると定電圧充電となり充電電流が80mAほどになると充電LEDランプを消灯させるというマニュアル充電としました。
ロジックICやマイコンを追加して自動的に充電を完了させることもできますがそれほど頻繁に使用しないのでここで完了としました。
   2021/11/3 up
  LTC1731による2セルの充電器
 リニテクのLTC1731と言うリチウム2セル電池専用の充電ICを手に入れることができましたので作成しました。
専用ICを使用したのでシンプルにフル機能を実現しました。
5ピンの抵抗値を変えることにより定電流充電値を変えることができます。20kΩで400mA,50kΩで200mA,100kΩで100mAほどになります。
ON抵抗の低いPチャンネルのMOSトランジスターは、秋月にあったMTB060P0613を使用しました。電池のCV値が8.4Vの電池に対して入力電圧が9VなのでON抵抗が大きいと飽和して設定電流を流すことができなくなります。
4.リン酸鉄リチウム充電  
 仕事の関係でリン酸鉄リチウム電池12.8Vのサンプルを入手できたので今までのリチウム電池との違いを理解し充電方法の検討を行い自作することにしました。
この電池は今までのリチウム電池の中では爆発しない安全なものと言われていますがそもそもなぜそのようなことが起こるのかと言えば、内部の電解液に水を使うことができないからです。
水は2Vを超えたあたりから電気分解が起こります。そのため3V超えるリチウム電池には一滴も水を入れることができないため燃えやすい液体が使われています。
リン酸鉄は日本のメーカーは車向けに量産開発を行っているため手に入る電池はほぼ中国製になります。電池の特性が今までの物とは異なるのでCC−CVではうまく充電できないこともわかってきました。
   2020/1/26 up
 上の回路が検討中の物になります。最終的には充電電流で満充電を検出します。動作説明としては、8.6Ωのインピーダンスを持った定電圧充電になります。電池電圧が充電電圧より低いうちは8.6Ωの制限による充電電流が流れます。電池電圧が充電電圧と等しくなると充電電流が早く減っていくように動きます。
当初の30Ωを8.6Ωにするのと入力を24Vから19Vに下げる変更を行いました。制御トランジスタもhfeの大きなダーリントントランジスタに変更し発振止めのコンデンサを追加しています。この定数で電池が13V近辺で0.5Aの充電電流になります。
   2020/1/28 up
 検討していたトランジスタでは発振を止めることがでにませんでした。出力段を飽和状態か、Vce電圧が低い状態での動作なためCobが大きくなるためのようです。負帰還量を減らせばおさまりますが電流による電圧変動が大きくなり使えませんでした。そこで2個の独立した素子(2SC1815・2SD2012)を使うことにしました。
2SD2012で検討しますがさらに小さなCobのトランジスタがあれば変更します。
   2020/1/30 up
 出力トランジスタはほとんど飽和状態の動作(ダーリントンなため0.9V位)なので発熱はあまり考える必要がないためCobの低い2SC2481に変更しました。出力が1Vほど変化することで充電電流を変化させたいのでMOSトランジスタを抵抗に直列に入れて電流変化を大きくしました。入力電圧を下げることで変化をさらに大きくすることができます。
(とりあえず0.3A弱の充電電流の設定にしてあります。)
  2020/2/5 up 
 上のグラフはリン酸鉄リチウム電池1セルをCC−CV充電したものです。他のリチウム電池と違って3.5V前後から急激に電圧が変化しています。このため多セルにするとそれぞれのセルが均等に充電しにくくなります。
対策として電池にバランス回路が内蔵されている物があります。(簡易的)
元々一般的なリチウム電池向けに開発したICだと思いますがバランス回路の中にある放電抵抗が電池に内蔵した場合発熱の問題であまり低く出来ません。充電電流と放電電流の関係がある範囲内でないとバランス充電効果が発揮されません。リン酸鉄の場合かなりの放電電流が必要で抵抗内蔵では発熱するため難しいです。
ちゃんと充電させるためには、各セルごとに充電管理をさせないとバランス充電をすることはできないでしょう。
 定数は上の回路と違いますがCV充電を試みたものが上のグラフになります。4直セルで設定電圧までうまく充電できています。横軸が時間(秒)です。最終的には1セル3.6Vで14.4VでCV充電するように設定しタイマーで完了させる充電方法を検討します。(タイマーを使わなくてもほぼ95%の充電が可能です。)
   2020/2/8 up
 右の写真が、12.8V,7.5Ahのリン酸鉄リチウム電池です。1/10C充電で0.75Aの電流を流す必要がありますがCV充電で最大0.4A流れるように調整した回路でうまく充電できるように設計します。
 この電池は負荷電流の変化に対して電圧があまり変動しない特徴があり、モーター駆動のための電源に適しています。
   2020/2/25 up
5.006P充電器  
  
 
 秋月で購入できるニッケル水素タイプの006Pを題材に回路検討します。複雑な充電は行わず0.2Cで充電させます。定電流回路はLDOタイプの3端子レギュレターを使用します。
この電池は7セルで構成されていますので常温で10V(1セル=1.44V)で充電完了にしてあげればほぼ満充電になります。
上の回路では現状低めに設定してありますが6.2kの抵抗を調整して10Vにします。
 2021/5/22 up
 ニッカド電池では満充電検出を−ΔVを利用していましたが、電池メーカーによりそのレベルはまちまちで大きく設定すると検出できなかったりしました。
ニッケル水素電池になると−ΔVはほとんど発生しない電池もあり他の方法が取られるようになりました。それがΔTと言われる温度変化による検出です。電池が満充電に近づくと急に温度上昇が変化する事を利用した検出方法です。マイコンによる色々な条件との組み合わせで充電を止める必要があります。
又、メモリー効果の対策のためある電圧まで放電してから充電を開始動作をさせる充電器があります。
   2022/2/10 up
 以前から秋月にMAX713が単品販売(以前キット販売)されていてニッカド・ニッケル水素電池のチャージャーに使われている例がネットに出ています。
私は、使用したことがないので詳しくは解りませんがニッケル水素電池のチャージャーを作る時はMAX712を使う必要があります。前回の説明のように−ΔVはほとんど発生しない電池が多いのでΔVが0になったら充電を止める事が必要になるからです。
ネットで見る使用例では−ΔV検出しか見ていない物があり停止できないと思われます。
電池の温度も見る必要があります。
製品を作る時は、さらにタイマーを入れて停止させる三重の対策をとっています。
   2022/2/11 up
   

M.I.の趣味の部屋