ギターアンプの検討                               
 ギターアンプは、オーディオのアンプと異なり歪ませる使い方まで考慮して作られています。
実際どこまで考慮していたのかわかりませんが、真空管によるアンプはトランジスタに比べ歪が多くそれが最適なアンプを構成していました。
いまだにギターアンプには、真空管式の物が多い理由です。
どんなに優れたエレキギターでもアンプにより音は大きく左右されます。
1.シングルアンプ  
  CHAMP_AMP Model-5C1
   チャンプシリーズは、1948年にチャンピオン800で始まり1953年の5C1よりキャビネットのパイン材にツイード生地を貼った外観に変わりツイード・チャンプとなります。
1956年に5F1が発売され、これがツイードの最後のモデルとなり1964年まで生産されたそうです。元々、スチューデント・モデルとして初心者向けに作られたものですがエリック・クラプトンなど多くのミュージシャンのレコーディングに採用されて有名になりました。
 音が良い(オーディオとは違う意味)ことが採用された理由です。使用部品は、真空管がRCAなどでコンデンサがASTRON,抵抗がAllenBradley,スピーカーがOXFORD(初め6インチを使用、1956年ころより8インチを採用)などとなっています。このころのトランスはハンドメイドの紙巻トランスで、今の製品に比べると性能はあまり良くない物を使用していました。(出力トランスは音に最も影響する部品です)
  CHAMP_AMP Model-5F1
 ツイード・チャンプの最終モデル5F1の回路を左に載せます。 C以外は12AX7の三段構成のアンプになっています。
 Fの次にAA764というモデルが続きます。トーンコントロールが付き、ゲインが下がった分を初段のカソード抵抗にコンデンサーをパラにしたり出力から二段目への帰還量を減らしたりしています。
 6V6のG管や初期のGT管は、プレートやスクリーングリッドの耐圧が低いためAA764あたりのセット以降には耐圧をオーバーしてしまうものがあります。現在購入できる部品を使用して作る場合には、電源トランスのB電圧に注意が必要です。
 2009年にはツイード・チャンプのリバイバル限定品が発売されています。(5F1)
  CHAMP_AMP AA764
 フェンダーにはチャンプの他にプリンストンの初期モデルにもシングルアンプがあります。
初期から簡易的なトーンコントロールが内蔵されているのがチャンプと違う所です。このトーンコントロールがフェンダー(ギターアンプ)独特の回路となります。 この回路がベースとなり、マーシャルのアンプにも採用されて行きました。
 オーディオのトーンコントローラとは異なり、中域を絞った周波数特性になっています。
参考にhttp://www.duncanamps.com/index.htmのソフトウエア・ダウンロードの中に「TSC」という周波数特性を表示するソフトがあります。
 簡単に常数を変更して特性を確認する事ができます。
初段,次段に12AX7ではなくモデル5B2ではGT管の6SL7を、モデル5C2では6SC7を使用しているのが特徴です。モデル5D2からは12AX7になっています。
6SC7は管の内部でカソードが共通になっているため回路構成が若干異なります。この真空管はモデル5C3にも使われており評判の良い製品のようですが、貢献しているのかは不明です。
下図に5B2と5C2の回路を掲載しておきます。 
 
  Princeton Model-5B2
  Princeton Model-5C2
2.プッシュプルアンプ  
  "Tweed" Deluxe 1956  Model-5E3
 6V6のシングルアンプでは、5Wくらいの出力が一般的でそれ以上を望むとまずプッシュプルアンプを選ぶことになる。オーディオのアンプと同様に位相反転回路が必要で、上の回路ではシンプルに12AX7によるPK反転回路を使用しています。
電源電圧にもよりますが、10〜15Wくらいまで出力を取り出すことができます。
あくまでも小型パワーアンプを前提に検討していますので、EL−34や6550などのパワー管は検討から外していますのですいません。
   

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