対策回路を掲載しましたが、初期以降に発売された例えばファズファクトリーなどを見るとほぼ対策された回路になっています。いずれにしてもゲルマニウムトランジスタを使う限りはある程度の温度ドリフトは許容しないといけません。 |
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2019/12/8 up |
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ファズファクトリーの初段は、リーク電流が少ないシリコントランジスタで受けてバイアス抵抗も220kと大きくできています。2段目以降がゲルマニウムトランジスタを使用しコレクタ抵抗を10kほどに下げてコレクタ電流を大きくしています。これによりIceoの影響を約1/3に下げています。さらにベースバイアス抵抗も47kに下げていますので、1~2段目の安定度が向上します。
また、Compボリウムにより最終段含めたバイアス設定が可変できるので音作りに最適なコントロールが可能となっています。他にStability゙ボリュームにより出力信号をフィードバックさせて発振(ギミ)させる機能が追加されています。
次に別のアプローチによる回路を下図に示します。 |
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*定数ミス一部変更 最終回路pdf貼り付けました。 |
この回路の特徴は、初段にバッファを置くのは一部の機種でも採用されているので同じ理由によるものであるが、2段目の負荷を抵抗からFETによる定電流にしている事です。
この定電流にプラス(修正)の温度特性を持たせ温度が上がると電流が増えるようにしています。
ゲルマニウムトランジスタのIcbo(リーク電流)は、温度が10度上がると倍に増えます。つまり温度が上がると2段目のコレクタ電流は、(Icbo+Ib)×hfeなので本来の増幅に必要なIbが流れなくなってしまいます。そこで温度が上がるとコレクタ電流を増やしてあげると少しは温度変化に強くなるのではないかと思い作成しました。
SUPER BENDERではバイアスを15kから33kの間で調節するという機能を持たせたりしていますが、それをオートで対応するシステムです。(ここまで調整範囲が無いですが)
NPNの2N1308というリークの少ないトランジスタを使用しました。
2段目の入力に20kを直列に入れてゲインを押さえていますが、ボリュームにするかもう少し抵抗値を下げるか評価により決めるつもりです。 |
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2021/1/26 up |
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定電流用のFETを色々実験してみたのですが、今のところ東芝の2SK170,2SK366が良さそうなことがわかりました。簡易的にドライヤーとアイサーで調べて200μA~400μA(常温300μA)の特性となりました。
最終的な回路評価をしてみたいと思います。 |
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2021/1/29 up |
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2SK363のId-Vgs特性(温度含む)のグラフです。見てわかるように温度が高くなるとドレイン電流が大きくなります。このグラフはIdが大きいトランジスタですがGRランク以下を選ぶと5mA以下の物がえられます。これをソース抵抗により300μAに絞って使います。
トランジスターによりこの特性は異なりますので注意してください。(2SK30では効果が得られません。)
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2022/2/12 up |
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次段の入力抵抗を10kΩにしたときの出力波形です。Fuzzを一番左に絞ったときのゲインになります。定電流負荷にしたのでエミッタ側の抵抗は無くしグランドにショートしました。
約11dBぐらいあります。Fuzzを一番右に回したときのゲインは、37dBほどありました。
出力が抵抗分割で5.4%に減衰させていますので±210mVほどでクリップすることになります。
この回路は、トランジスタのHfeの温度特性にも影響されますのでIcboと共に補正の効果があります。Hfeは低温で小さくなるのでコレクタ電流が一定だとIbが増えて出力段のエミッタ電位が上がり出力段の電流が増え出力段のコレクタ電圧を下げてしまいます。
低温で2段目(普通のファズの初段)のコレクタ電流を下げてやればベース電流がその分減り出力段のコレクタ電流が増えるのを押さえることができます。
高温では、2段目のIcboの増加に対応してコレクタ電流を増やしてあげれば良いことになります。この二つの補正が温度特性を持たせた定電流回路で実現できるのです。
完璧に補正する事はできませんが、ある程度はこの方法で効果的な動作を実現できます。
最終回路を近々PDFで貼り付けておきます。 |
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2021/1/30 up |
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元々ハイインピーダンスのギターを直接ローインピーダンスの入力で受ける使われ方をしてきたので、ゲルマニウムファズを他のエフェクター(低インピーダンスの出力)の後に入れると期待した音色を作り出すことができません。
今回バッファを入れて高入力インピーダンスで受け入力の影響を受けにくくしていますが、出力には直列抵抗を入れてインピーダンスをある程度高くするようにしています。(高域の周波数特性が異なると思われまが、ギターによる違いは軽減されるはずです。)
ここにギターのピックアップをエミュレートさせるコイルを入れる方法もあると思います。
入力のバッファは2SK30A_GRを選びました。
FUZZボリュームをmaxにすると入力14mVp-p以上でクリップされるゲインを持ちました。
NPNで構成することによりプラス電源9Vで動作しているので外部電源からの供給が可能となります。 |
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