真空管booster
1.電源回路  
 真空管を使用するには、B電源とヒーター電源が必要となります。
一般的に、B電源は100V以上の電圧,ヒーター電源には6.3Vや12.6Vで0.3A前後の電流が必要となります。しかし、エフェクターでは、歪ます目的で回路ができているので低電圧の電源で動作させている例が多く存在しています。
私は、ある程度の電圧をかけ最適な動作点により駆動させた真空管ブースターを作るため、電源の設計に入りました。
   
【入出力特性】
 12V電源より43Vを作り出す回路です。シミュレーションデータは、負荷2mA流したものです。
電源のパルスノイズの影響は作って確認するしかありません。
さて次がヒーター電源です。この電源は真空管の寿命に影響しますのでプロがコンサート1回ごとに交換前提で使用する以外には規格電圧の±5%以下にする必要があります。
真空管は、高温になると寿命が短くなりますし低温ではゲッターの効果がなくなり内部の真空度低下により特性が劣化して行きます。
今回は、真空管に優しい定電流回路でヒーターを駆動させることにしました。 
 右の回路が、200mAの定電流回路です。
可変タイプの三端子レギュレータを利用したもので、出力とグランド間の抵抗に流れる電流でほぼ決まる。
使用する真空管に合わせて抵抗値を変えればOK。
   1.25V÷R=電流
 
 上の定電流タイプの欠点は、電力消費によりICや抵抗が発熱することである。
今回使用する真空管は、6.3Vのヒーターなので定電流タイプを使用するが、12.6Vであれば右のような回路により電源投入時の過渡電流を抑える方法を利用するのが発熱もなく良いと思う。
(ダイオードは、電源OFF時にコンデンサの電荷を抜くための物) 
 
2.自作Booster回路  
 真空管によるブースターを作るに当たりどのような物を採用するか検討した結果、サブミニアチュア管の5744を使うことに決定しました。
一般的なMT管では発熱も考えるとやや大きめなケースに入れる必要がありますが、5744を使用すれば小型に作る事ができます。μ=70ほどあるので1段で済ませました。
エフェクターの中には、真空管にとって異常な使われ方をしていることがありますが、ヒーター電圧だけは規格の±5%以内で使用してください。プロが2〜3時間で交換しても良いという考えて使うのであれば、だめとは言いませんが!! (低圧ではゲッターの効果がなくなり特性が悪化、高圧では寿命がかなり短くなります。) 
   
【raytheonの5744WB】
3.クリーンBooster&オーバードライブ  
 真空管でしっかりしたブースターを作ろうと思いセットを参考に回路を考えてみたものです。
クリーンブースターの場合いは、初段の12AX7Aのみで出力に繋がれます。真空管に通常の高電圧電源で動作させますので、ダイナミックレンジもとれアンプの出力で波形をあてて歪ますように動作させます。
基本的な歪みは、3段目のアンプで出力波形をオーバードライブすることで作り出します。低域での歪みを抑えるためにこの段の低域ゲイン特性をカソードに付けるコンデンサーの値を小さくすることにより実現させています。
出力のトーンコントローラは、好みからフェンダータイプにしています。
 
 電源にそれほど凝るつもりはなかったが、オーディオで使用したSICのショットキーダイオードが良かったので採用することにした。ヒーターにはシリコンのショットキーを使用した。トランスは、ケースのことを考えヒーター用と分けて2個使いにして小型を採用した。
   
   
   
   
   

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