DISTORTIONT    
1.DS−1と改造  
 BOSSのDS−1をベースとして皆さんが色々改造されている物を参考に改造をしてみます。
下に初期型の回路図を載せておきます。あくまでもメイン回路のみで切り替えの回路部分を省いています。オペアンプには、東芝のTA7136が使われておりますが現在かろうじて手に入るのはTA7136APです。
トランジスタも2SC900が手に入らなかったので2SC732を使用することにしました。
クリッパーダイオードはローム(株)の1S2473です。
 オペアンプは、生産時期によりTA7136P(/AP),BA728N,M5223L,NJM3404Lと変わっており、それに伴い周辺回路(定数)が変わっています。
改造にあたりオペアンプは初期型を使用し、低域をもう少し伸ばす事とトーンコントロールの定数の見直しをする事を検討します。

【既存回路】

【変更回路】
 バッファアンプの次段にあるアンプの見直しで、上の回路図のように定数を変更し、低域の周波数特性を伸ばしたのとゲインを37dBから28dB(簡易シミュレーション)に下げる変更を加えました。
これはできるだけオペアンプの前で歪ませない為です。
 トーンコントロール回路の定数見直しを行います。
左の回路が初期製品の物ですが、ハイパス特性やセンター位置の特性を見ると中域がへこんだ周波数特性を示しています。
トーンコントロールのボリュームのの両端へつながれているハイパスフィルターとローパスフィルターの定数が少し離れた値となっているからです。
ここら辺の定数を変更した物が右の回路となります。
 トーンコントロールをセンターフラットを狙いすぎて可変バランスが良くないように思い下の定数を考えてみました。
この特性も含めてDS−1の音色を決めている為変更するのが良いかは各自判断になると思います。
ただしオペアンプの手前のアンプのゲインに関しては下げる事と低域を少し伸ばす対策は有効と思います。
是非色々試してみて自分に合ったエフェクターを作ってください。
   2018/7/8 UP
 
2.DS−1改造回路  
 とりあえず回路全体を作って見ました。トランジスタのアンプゲインを下げたのでオペアンプの最大ゲインを少し上げてやります。
その他全体的に低域の周波数特性を少し上げています。また部分的にインピーダンスを少し下げています。
3.RATの検討  
 シンプルな回路で評判なセットにProCoのRatを検討してみます。
このセットの特徴は、LM308を使用している事ですが、現在のセットでははOP07が使われているようです。
LM308は、入力電流をできる限り小さくするため初段のトランジスタにhfeの大きな特殊な物を使い7nAに抑えています。回路電流も小さいためスルーレートや周波数特性も良くないですが、エフェクターには十分な特性です。
2015/10/8 改
 ネットを見ていると、出力段のFETバッファでも(歪ませていて)RATの音色を作っていると言う内容の説明が多く掲載されている。しかし私は歪ませて音色を作っているとは考えていません。ただトランジスタにより音色が変わることはあると思いますが、比較できたらしてみたいと思います。
製品では、2N5458というFETが使用されていますが、Vgsが大きいのでIdd=0.5mAでは−2〜−4Vとばらついているので小さい物を選別しないと振幅が上にあたってしまいます。
 とりあえず、手元にある2SK30Aで設計を進めて行きます。
2N5458も入手できましたので比較してみます。(色々やること多くていつになるかな?)まず、Idss測定します。
2010/11/21 up
 ネットで見つけた回路図に違いがあり正規のRATは出力のソースフォロワのゲートバイアスはグランドが正解のようです。FETはVgsが2V前後のものを使用すれば問題ありません。今までの私の考え方が間違っていて出力段でわざと片側クリップをさせているのかもしれません。(本物の特性を測ってみないと解りませんが?)またダイオードも初期型は1N914を使用しています。現在購入可能なものと同じかはわかりませんが採用してみます。
2015/10/6 up
 海外のサイトで、General Guitar Gadgetと言うサイトがありますが、そこに掲載されている RATレプリカ回路図の一部が右図です。
ここでは、オペアンプのバイアス回路と別に出力のFETバイアス回路が設けられており、Vgsを考慮してバイアス電圧を下げています。
2N5458を使用する時は、このようにして使用するかIdss(2mA以下)の小さな物を選んで使用するのがベストです。
 出力段で歪みを少なくさせるには左の回路のようにバイアス電圧をかけた方が良いです。
 2015/10/6 up
 Idssを測定すると、やはり2mA以下のFETはありませんでした。そこでVgs(off)電圧も測定してみました。 仕様書のデータから推測した値より意外と小さいことがわかりました。小さめの物を使えば問題なさそうです。
バラツキが結構ありますがどれも使用可能です。
4.RATの作成  
 シンプルな構成なので作成することにします。
せっかく作るのでクランプダイオードを切り換えられるようにしてみます。色々切り換えるようにすると使いにくくなるので2種類ぐらいを切り換えるようにします。
予定しているのは、標準の1N4148とLEDの2種類で、LEDのVfを考えると(約2V)2N5458のバイアスは単独で与える必要がありそうです。(シリコンダイオードだけであれば、分ける必要はありません)
*2010/12/3 up
オーバードライブで使用した2N7000及び+ゲルマDiによる非対称なども検討し最終判断して行こうと思います。
 オペアンプは、メタルフレームのLM308AHが手に入ったので使用することとしました。
 2015/10/6 up
5.主な使用部品  
 
●TA7136AP
   位相補償が外付けタイプで7ピンパッケージタイプなので置き換え相当品がありません。
出力段のバイアス電流も抵抗により調整ができます。
インターネットで購入できますが、数は少なくなっています。(保守品)
    
●2SC732
  東芝の60V耐圧ローノイズトランジスタになります。(保守品)
高耐圧の2SC2240が後続機種になると思われます。
●LM308AH
   位相補償が外付けタイプでさらに入力電流を小さくしたタイプ。
Aタイプは、オフセット電圧も小さく抑えたタイプ。
いまだにキャンタイプは量産されているようだ。
●2N5458
   入手できなければ2SK30Aを使用する予定でしたが、手に入りました。 このFETは、Vgs(off)電圧が(絶対値として)大きいので使い方に気をつける必要があります。2SK30Aの場合は、Yランクを使えば動作電流時−1Vぐらいで使いやすい。
 6.BJFE DYNA RED DISTORTION  
 RATをベースに改善して完成されたBJFE_DYNA_REDは、ベストディストーションの1つです。
オペアンプにRCAが1974年に出した世界で初めてのCMOSオペアンプのCA3130を使用しています。作製するにはまず部品集めからする必要があります。
 主な使用部品 
 
●CA3130  
   RCAが1974年に製品化した最初のCMOSオペアンプです。
この回路では、まずこのオペアンプを使用しないとと思い探して若松で購入しました。
 
●2N5458
   RAT同様にここでの歪みが音作りをしているかもしれないので購入しました。当然Idssにより歪み方が変わりますので数個測定して調べることにします。
   
   

M.I.の趣味の部屋