カメラの雑学
1.レチナ  
 レチナは、ドイツコダック社が1934年に新たに一般大衆向けに開発したカメラです。社長であり技術者でもあるオーギュスト・ナーゲルが生みの親です。
彼は26才の時にドレクサーと共同で小型カメラの設計製造会社を設立し、1919年にはネッテル社を合併してコンテッサー・ネッテル社と改名しました。
しかし株主となったカール・ツアイス連合の共同体に参加せざるをえなくなりました。
この時代の業績として特にあげられるのが、世界初のスプリングカメラのイコンタです。
2年後には独立してナーゲル社を設立しますが、1931年に世界的大不況の中で先行きを考えコダックの傘下に対等な立場で入ることになります。ドイツコダック社の誕生です。
スプリングカメラのレチナTで始まり、最後はレチナフレックスWが1967年まで生産されました。
1958年に発売されたレチナTB,レチナUC,レチナVC(最後のアルファベットが大文字)は、通称大窓(ビックアイ)と呼ばれファインダー内に標準だけでなく広角,望遠のブライトフレームが内蔵されました。
 私が興味を持つのは、レチナVCまでのスプリングカメラです。レチナUからはレンズの全群を交換する広角レンズと望遠レンズが発売されていますが、距離計と連動していないことやレンズを収納できなくなるなど使いづらいため購入はしていません。
スプリングカメラの良いところは、持ち歩く時にコンパクトになるところで、ちょっと出かけるときに気楽に持ち歩くことができます。 
レチナUa レチナVc
 ● レチナVc クセノン

【クセノン50mm台湾にて】

【クセノン50mm上海にて】

【韓国-旧市庁】

【韓国-南大門市場】
 ● レチナUa ヘリゴン
   
 レチナの良いところは、レンズシャッター のメンテナンスをする時にレンズを簡単に外すことができる事です。 レンズの前群を換えることにより焦点距離を換えられるようにしてあるからです。
清掃には、揮発性のよいベンジンを使用して綿棒につけて金属シャッターを拭きます。
2.コンタックス  
 1926年に最後まで抵抗していたエルネマン社が合併に同意したためイカ社,エルネマン社,ゲルツ社,コンテッサ・ネッテル社が集まってカール・ツアイス財団の傘下にツアイスイコン社が設立されました。
世界最大の光学メーカーとしてライカを超えたカメラ「コンタックスT」を1932年に発売しました。
長所・短所は色々ありますが、最大の特徴は距離計の基線長が長いため望遠でも精度良くピントを合わせられることです。
 コンタックスU,Vには戦前型と戦後型があり戦後型(Ua,Va)は一回り小型になっていて日本人にはちょうど持ちやすい大きさになっています。小型にしたために戦前の広角レンズであるビオゴン35mmを付けることができません。
 戦後型用のビオゴン35mmも発売されていますので購入時には注意してください。21mmのビオゴンは戦後に発売されましたので問題なく取り付けることができます。
私が選んだカメラは、コンタックスVaで連動露出計が付いたタイプです。ネガを使用するレベルでは問題なく使用できますしポジでも参考になるレベルで重宝しています。
ただ、生産から50年以上たった製品ですのであまり期待して購入しないことです。
このカメラの最大の欠点は、シャッターではないかと思います。使用していて一度シャッターのリボンが切れてしまいました。この時は、荻窪にあった田中商会で修理をしていただきました。
 (お店は閉店のようです) 
3.イコンタ  
   コンタックス同様にツアイスイコン社が開発したスプリングカメラです。レチナを作ったオーギュスト・ナーゲルが中心となって作り上げたカメラです。35mmフィルム用のイコンタ35から6×4.5cm判,6×6cm判,6×9cm判まであり、連動距離計付き(スーパーイコンタ)もあります。
スーパーイコンタにはテッサーが使われていましたがその他はノバが使われていました。しかし6×6cm判のみテッサーが搭載されていました。
テッサーを使いたい為に購入したものです。
4.ビトー  
 フォクトレンダー社は、光学メーカーとして18世紀からウィーンで活躍を始めた会社です。後にドイツに移転しましたが、1839年に始めてカメラがフランスで発売されると翌年には自社製カメラの開発を完成させ(f3.7の明るいレンズを開発し、日中野外でも20秒かかっていた撮影時間を1秒に短縮しました)
 1841年には発売を開始している最古参メーカーの一社です。
1956年には株主のシェリングがカール・ツァイス財団に売り渡した為ツアイスグループの一員となり、1969年には同グループのツァイス・イコンに吸収合併されました。
35mmフィルム用スプリングカメラは1939年にビトーT,1950年にビトーUが、販売されました。 ビトーUの一番の特徴は、レンズをコーティングを施したカラースコパーに変更したことです。
このメーカーのカメラは、とても重たい印象を持ちます。たとえば、コンタックスVa・860g,ライカM3・845gに対しプロミネントTは985gあります。
スプリングカメラは重くないのでテッサタイプのカラースコパーを味わう為に購入しました。
5.感光材料  
 フィルムタイプになる前は、ガラスに感光材料を塗ったものでした。(左の写真)
右の写真は、ポジフィルムで気に入って使っていたコダクローム64。残念ながら生産終了!!
2012年1月19日、コダック(本社と米国内の子会社)は連邦破産法11条の適用をニューヨークの裁判所に申請した。今後は、デジタル部門への事業の集約や保有する特許の売却などにより、2013年までに再建手続きを完了させるというニュースが飛び込んだ。
等々、フイルム事業は撤退となるのか? エクタクロームまで無くなってしまう(?)のは、残念である・・・。
  
 
   

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