FULLTONE'69 |
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トランジスターによる原回路(基本)に近いこのFUZZを題材に使用部品を色々検討してみたい。
FUZZは色々なメーカーの製品が低価格で販売されているので今更自作する必要はあまりない。
しかし古いゲルマニウムトランジスタを使用した物は、ビンテージ品,レプリカ品として高価な物となり自作の言い訳として最適な製品です。 |
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【図1】FULLTONE'69回路図 |
左の回路図がネットで探したものをNPNトランジスタで置き換えたものです。
ゲルマニウムトランジスタは現在生産されていないため高価なものが多く苦労しましたが2SB77,2SB415,2SD77を安く購入することができました。
初段のトランジスタのHFEによりコレクタ負荷抵抗33kを調整する必要があるかもしれません。 |
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【トランジスタ規格表】
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2SB77 |
2SB415 |
2SD77 |
2SD72 |
2N1308 |
コレクタ-ベース間電圧 |
−25V |
−35V |
25V |
25V |
25V |
エミッタ-ベース間電圧 |
−12V |
−6V |
12V |
6V |
25V |
コレクタ遮断電流Icbo(max) |
−10μA |
−14μA |
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25μA |
6μA |
エミッタ遮断電流(max) |
−6μA |
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25μA |
6μA |
コレクタ電流 |
100mA |
1A |
100mA |
600mA |
300mA |
コレクタ損失 |
150mW |
200mW |
150mW |
210mW |
150mW |
接合部温度 |
85℃ |
85℃ |
85℃ |
85℃ |
85℃ |
遮断周波数 |
2MHz |
1MHz |
3.5MHz |
0.75MHz |
15MHz |
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【ゲルマニウムTr】 |
【使用電気部品】 |
【ゲルマニウムTr】 |
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◆トランジスタ |
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2SB77と2SD77は、低周波出力増幅用としてコンプリメンタリ回路用に設計された品種で採用検討します。2SB415は、FUZZの2段目のトランジスターとして採用実績があるようなので検討することにしました。私がゲルマニウムトランジスタを使いだした頃は、PNPタイプが回路作る上でのメインでした。インジウムという金属によりPNPが作りやすかったからです。
今回は、NPNタイプでFUZZを作ってみようと思い他のトランジスタ(安い)を探してみました。
そこで見つけたのが三洋の2SD72という2SB405とコンプリのトランジスタです。オーディオAB級の1〜2Wぐらいの出力段を構成できます。
スペックがあまり詳しくわかりませんが、Iceoが大きいため2個購入して1個は初段に使用できませんでした。TI社の2N1308を手に入れて動作確認を行いました。若干HFEが低めでしたが初段にも2段目にも使用できそうです。海外で自作に使われているようです。(2009/10/5) |
◆回路動作 |
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Vbe=0.1Vとした場合1段目のコレクタ電圧は、2倍のVbe+100k×Ibとなり約0.5Vとなります。
従って1段目のコレクタ電流は、(回路電源=9V)8.5(電圧)/33k(コレクタ負荷抵抗)=0.26mAとなります。 *ベース電流を無視していたため変更
*ゲルマTrのVbe=0.1Vに変更
2段目のコレクタ電流は、エミッタ抵抗の1kΩで決まり0.4(電圧)/1k=0.4mAとなります。
2段目のトランジスタのコレクタ負荷抵抗を調整してDC的な電位を決めてやれば良いことになります。
実際には、使用するトランジスタのVbe電圧により特に2段目のコレクタ負荷抵抗を調整する必要があります。たとえば、シリコントランジスターの場合は、Vbe=0.9V位となるためコレクタ電流が約0.9mAとなりコレクタ負荷抵抗を4.7kΩ前後に下げてやる必要があります。
従来からのFUZZと異なるのは、入力に直列に入れた50kΩのボリュームです。これにより小信号では歪ませない動作をさせることが可能となります。
AC動作としては、1段目が入力波形の片側だけをクリップさせ(どちらかと言えばソフトクリップ)2段目では 両側ともハードクリップさせる動作となります。またコレクタ負荷抵抗を変えることにより対称クリップをさせたり 非対称クリップさせたりすることができます。
とてもシンプルに色々コントロールすることができる回路となっています。
実際にゲルマトランジスタを使用するとリーク電流が多く思った通りの動作ができていないことに気がつく。
コレクタ遮断電流(Icbo,Iceo)がこの項目であり、今回使用予定の2SB77or2SD77のIceoは0.5mA typ もあり初段に使用するためにはコレクタ負荷の33kΩを下げてやる必要がありそうです。
今となっては、貴重な在庫資源を有効に使用してあげる回路常数の見直しを検討して行きます。 |
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【図2】変更回路 |
ボード検討した結果左の図のような回路に変更すること にしました。
初段の負荷抵抗を20kの可変抵抗を入れて調整可能 とした事と、下側にエミッタ抵抗を入れて気持ち電流帰還 を入れ、また2段目の電流を若干増やしました。 |
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上の回路を作成し、動作確 認をしてみました。
初段のコレクタ抵抗20kΩを調整し初段の電流を600μAほどにしました。
これにより2段目の電流も 600μAほどになりました。
初段のエミッタに130Ωを入れているので約−10dBの感度ダウンがありますが一応このままにしておきます。
(パラにコンデンサを入れて感度アップさせることができます)左の波形は、入力の可変抵抗50kΩはショートしてあります。最初の波形が出力波形があまり歪まない状態で、次が片側が特にクリップした状態,最後が上下ともにハードクリップした波形です。 |
ゲインが大きいのでノイズが乗りやすい状態での測定ですが、帰還がかかつて不安定なことがわかりました。
対策には2段目のトランジスタのベース・コレクタ間にコンデンサを入れることにします。
一応100pFを入れる事にしました。 2009/10/02up |
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* 左の真ん中波形写真が出力 の動作点がずれていて出力で 片側クリップしていたので変更 しました。 |
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【作成回路基板】 |
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