Octavia            
1.色々な製品  
 Octaviaには色々な製品があり、音をそれぞれ聞いたことはありませんが回路を見ているとそれぞれ大きく異なる音色を作り出していると思われます。
大きく分けるとオクターブ上にシフトさせる物,オクターブ下又は2オクターブ下にシフトさせるタイプ,両方の機能をもたせたタイプ,原音に合成させるタイプがあります。
オクターブ上にシフトさせるものは、比較的に回路的がシンプルで作りやすい製品です。
ネットで調べた回路で参考になる物を2〜3紹介します。 

【COSA VERDE】*ミスを修正 
【COSA VERDE表】 【COSA VERDE裏】
 *基板レイアウトをPasSを使って作製してみました。(個人利用はフリー) 

【CAJA AZUL】 

【REVOLCADOR】 

 COSA VERDEの入 出力波形を左図に示します。
 下の青い波形が、入力1kHzのサイン波で緑の波形が出力波形です。
 この回路は、アッパーオクターバーのみとなっており出力振幅はクランプされない。
 

 2番目のCAJA AZULの入出力波形です。
上の緑の波形が入力で下の波形が出力です。
この回路は、2オクターブ下の波形と入力波形をブレンドしたものになります。
 入力波形もファズ同様クランプした波形となります。
出力波形は、実際にはもう少し小さい振幅ですが定数を変えて大きめに表示しています。
 
2.YAMAHAオクタ-バー  
OC−01
 この製品は、日本製オクターバーの名器と言える製品です。アナログ回路で設計されているオクターバーは、入力の位相により効果がだいぶ異なるようで、入力部で位相切替のスイッチを内蔵しているこの商品は色々なエフェクタを繋げて使用するのに便利な機能です。少し複雑な回路構成をしていますので説明をしてみたいと思います。
コンプレッサー回路に使用しているトランスコンダクタンスアンプ(NJM13600)が使われています。まずはこのICの動作をシミュレーションしてみます。
 汎用トランジスタとCRによりシミュレーションした結果が上のグラフになります。緑の波形がアンプの入力信号で1kHzを入れています。アンプのコントロール電流を200kの抵抗で200Hz(赤線)の信号を加えます。
この結果、出力に青線の波形が現れます。つまり入力信号をコントロール電流波形でAM変調をかけることができるのです。
OC−01の全体の回路図は、色々なネットにアップされているので自作される方は見ていただくとして、それぞれの回路ブロックがどのような働きなのかをブロック図にしてみました。
  2016/5/29 up
 入力された信号は、オペアンプ(4558)のバッファ(ゲイン1のアンプ)に入ります。高入力インピーダンスで低出力インピーダンス出しが可能なためにあるブロックです。この出力が3系統に分かれて行きます。一つ目がオペアンプ(4558)を使用した同相/反転切替アンプです。共に5.2倍ほどのゲインを持たせています。ギターを弾いたときに最初に+側に振れる入力波形の場合と−側に振れる入力波形の場合で効き方が変わるためここで位相を切り替えられるようにしています。これはエンペローブピークホールド回路が+側のエンペローブを見ているためです。
ギター演奏のエンペローブ電圧を基準に少し超えた入力波形の部分のみコンパレータ1の出力が反転します。これが次段のRSフリップフロップのR入力に入ります。コンパレータ2はセンターバイアス電圧基準で反転する信号出力をSへ入力します。その結果RSフリップフロップの出力はR入力の波形が出力に現れます。ここで2段目のRSフリップフロップで1/2分周(周波数が半分になる)した出力(方形波)がローパスフィルターを通ってNJM13600のアンプバイアスインプット端子に入ります。
 バッファのもう一つの出力がNJM13600の入力端子に繋がりアンプバイアスインプット入力によりアンプの増幅率が変化した波形が出力されます。次段の加算アンプでNJM13600出力と元信号とを加算調整されます。
加算アンプは反転アンプなのでエフェクタの入力・出力を同相とするため反転アンプを設けて出力します。
 最終出力の切替SWは、エフェクター出力とバイパス出力の切替です。

【独自の改善案回路】
 この回路で問題はIC6のバイアス電圧です。ここに使われているオペアンプはTL062というJFET入力のもので出力ダイナミックレンジは良いのですが入力ダイナミックレンジがマイナス側が±4.5Vの電源とした場合スペック的に−1.5Vしか取れていません。(プラス側は3Vあるので問題ない。)コントロール系のフィルター回路なので信号があたってもそれほど問題ないのかもしれませんが、次段のオペアンプにはわざわざ22MΩと1MΩの抵抗で0.2Vほどプラス側にシフトさせているのに、前の段がそのままなのは合点がいかない点です。
オペアンプが3個つながっているので入力バイアス電流の影響をさけるためかもしれませんが全温度範囲を考えても10nAなので1MΩでの影響は30mV程度となります。
各社のオペアンプを調べるとスペックがだいぶ異なっておりJRCの物を使用すれば特に問題ないことがわかりました。
1Vrmsとして5.2倍のアンプの出力ですからセットの入力としてはダイナミックレンジ200mVrmsとなってしまいます。ギターによっては小さいかもしれません。
私ならこのように変更するという案を上図に載せておきます。定数はほとんど変更していません。(細かいのでPDFをリンクしています)
  *定数変更 2017/10/29 up
 オクターブ下の成分を作り出す為入力信号をローパスフィルターを通して700Hz以上をカットさせています。オペアンプの入力電圧範囲が問題になる場合反転アンプ型ローパスフィルタを利用すればダイナミックレンジを出力電圧範囲まで広げることができます。参考に下に回路を載せておきます。
   2017/10/29 up
 BOSSのOC1の回路を参考にOC−01をバージョンアップしてみました。NJM13600が2回路なので2オクターブ下も用意しました。自動追従型コンパレータの半坡整流を+側だけで無く−側も同様のコンパレータとした点が大きな変更です。全波整流も考えましたが部品点数が増えるだけで効果がそれほど無いため採用をやめました。
BOSSのOC1とヤマハのOC−01が一番違うところは、オクターブ下の成分を元の信号に加える部分です。ヤマハは、GMアンプ(NJM13600)を使用して振幅変調を採用しているのに対してBOSSはオペアンプの±入力を利用してFETスイッチにより位相(180度)を切り替える位相変調を採用しています。
この違いが、音に現れているのかだいぶ印象が異なります。ヤマハタイプは2オクターブ下の音を必要としないかもしれません。
  2017/10/29 up 

★PDFリンク
   
   

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