Booster                              
1.RC Booster  
 回路検討
   RC Boosterはとても評判の良いブースターです。
下に回路図を掲載しましたが、初段のトランジスタバッファの電源が5Vになっている物もあり当然バージョンによっても色々異なる場合もあります。
回路を見ると基本的にはオーディオと同様の設計で、アンプにダイオードクランプを入れていることが異なっているだけです。
 スコットヘンダーソン・シグネチャーモデルという限定モデルが存在しており、低音域の周波数を落とさない定数調整が行われているようです。
ラインナップとしてRC Booster, AC Booster ,BB Preamp があり、AC Boosterは一部の定数とフィルターが追加された程度の違いです。
それぞれ回路図をアップしておきます。(実際の回路を確認したわけではありません)

RC Booster 回路図】

【AC Booster 回路図】

【BB Preamp 回路図】
 BB Preampは、ゲインアンプとトーンコントロール回路の間にフィルター回路と約4.7倍のアンプを挟み込んだ構成になっています。フィルター部の特性をシミュレーションした特性を左に載せておきます。
エタニティーのトーンコントロールを絞った特性になっています。
 このシリーズは、ブースターとかプリアンプと呼んでいるようにゲインをいっぱいに上げて歪ませて使う物ではなく真空管アンプらしさをエミュレートする使い方をさせる為に作られています。
 使用部品
  オペアンプはFET入力のLF353が使われているようですが、バイポーラタイプの4558系のオペアンプを使ってみようと思っています。
バイポーラタイプを使用すると入力電流によりオフセットが大きくなりますが、たとえば4558系の入力電流が50nAの場合抵抗1Mによるオフセットは50mVとなり出力がバイアス基準より50mV下に下がることになります。
温度特性も考慮して使用することは可能と判断しました。
 ダイオードは、ガラスリードタイプの1N4148を使用します。
リードタイプのトランジスタは最近廃番の方向で使用できる製品が絞られてきつつありますが、色々比較してみたいと思います。
2.Z.Vex Super Hard On  
 FUZZ FACTORYを作ったザッカリー・ベックス氏が創設者であるZ.Vexエフェクター社の製品です。
原音に忠実で味付けのない非常にシンプルなブースターなのでそれほどいじる所はありません。
 MOSFETを使用しているので、ゲートを静電気から保護するためにダイオードが2個入れてあります。
クリーンブースターの手本となっているようです。 
ディスクリートbooster
 1段(2段)ディスクリートアンプは、簡単に作れて色々部品を変えて楽しめるので他の製品も調べてみました。                     '13/4/24 UP 
真空管booster
 クリーンブースターとして真空管は外せない存在です。                '12/8/15 UP
3.MXR M−133  
 回路検討
   音を歪ませることなく、ブーストさせることが可能な、クリーン・ブースター「マイクロ・アンプ」です。
技術的に見た場合多少問題がある部分があり変更してみたいと思います。(本物を見たわけでないので間違っているのかもしれません)
 まず入力の抵抗22MΩですが、これは、コンデンサ0.01μFに電荷を注入してあげるためのもので、無いと入力を繋げた時ボツ音が出ることです。ここまで大きくする必要は無いように思います。ピックアップとのインピーダンスマッチングもありますが、高すぎて?です。(ピックアップによりますが高域にピークを作っている?)
問題なのはオペアンプにバイアスをあたえている10MΩです。4558は、バイポーラ入力のオペアンプですから入力電流が存在します。PNPトランジスタなので出て行く方向にベース電流が流れます。
スペックから見ると、tip25nA,max500nAですからワーストでは動きませんし、低温になるとトランジスタのhfeが下がるのでやはり入力電流が増えてしまいます。(バイアスがずれて出力のダイナミックレンジが無くなる)また、4558の入力インピーダンスが5MΩですからこんなに大きくするのは意味がありません。
左が現状回路(推定)で、右が個人的修正回路(定数変更のみ)です。
  ちょっと脱線してピックアップについて考えてみます。 左の図がピックアップの等価回路でインピーダンスが下の式で表されます。
 弦の振動をコイルでひろいますのでの特性は周波数 が高くなると大きくないます。
 しかしCがあるためある周波数より高くなると小さくなります。(周波数特性にピークを持ちます)
このピーク値はだいたい200k〜500kΩで種類によっても異なります。
  このためピックアップを受けるプリ部の入力抵抗は、470k〜1MΩが一般的に使われています。
4.Tube Screamer TS−9  
 チューブスクリーマーTS-9は1980年代にTS-808の後継モデルとして発売されています。音色を決めているのがオペアンプでJRC4558Dが使われていたそうです。日本無線が製造販売していましたが、半導体部門が新日本無線 に変わってからは、NJM4558Dという票印に変わりました。
オーディオの世界でもパッケージのフレームが鉄より銅の方が音がよいとかパッケージにより音が変わると騒がれた事がありましたが、これもツヤありパッケージ品の音が良いと言われています。
 オリジナル部品が手に入るかわかりませんが、色々部品を変えて音色を探ってみたいと思います。
 初段のオペアンプの周波数特性が左下の図になります。負帰還のコンデンサを0.047μFにする事により低域のゲインを下げています。
この回路に入力(100Hz,200mVpp_1kHz,60mVpp)を入れると出力波形は、左下の波形になります。
これを負帰還のコンデンサを4.7μFにして周波数特性をフラットに(右下の図)してしまうと、出力波形は、1kHzの成分がダイオードクランプで削られてしまいます。これが、クランプ回路で低域のゲインを下げる目的です。
高域ほどクランプされて結果としてそれほど低域とのレベル差がなくなるようになります。(ゲインボリューム次第)
 上の波形は、緑が入力で赤が出力波形になります。この時にクランプダイオードに流れる電流はピークで7μAで±0.35V(ダイオードのVf)でクランプされています。
誰でも作れるギター。エフェクター
 ギターマガジンのこの書籍に「オールジャンル対応のオーバードライブF−DRIVE」で紹介している物がこれにあたります。
 ジャンル的には、オーバードライブとなっていますが、あまり歪ませなく使用すればブースター的使い方になります。 
   

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